12月1日(火)

『殺人博物館』用に2本執筆。

『ハリソン・グレアム』は「長屋の与太郎」が実は連続殺人鬼だったという物語。その部屋からは死体がゴロゴロ。

『デイトン・リロイ・ロジャース』は映画『ソウ』のラストシーンを連想させる事件。痛いよ。


12月2日(水)

 現在は次の電子書籍『シリアル・キラーズ』用に連続殺人犯を整理中。そのために『殺人博物館』用の原稿はしばらく近年の連続殺人犯が続く。

 本日書いたのは『ジョン・ウェイン・グローヴァー』。おばあちゃんばかり殺したので「グラニー・キラー」と呼ばれている。何度も自殺を試みており、遺書に書かれていた言葉が、
「おばあちゃんはもうたくさんだ」
 いやあ、笑える笑える。そんなにおばあちゃんが嫌いかい?

 もう1つは小ネタの『ウィリアム・サフ』。でも、22人も殺しているので、事件自体は小ネタではない。彼は「警察官の制服マニア」だったそうで、シベ超の水野先生を思い出してしまった。

 本日はNHKの『歴史秘話ヒストリア/友よ、泣かずに笑え〜正岡子規 闘病を支えた絆』に泣く。これが泣かずに笑えるかってんだ、べらぼうめ。


12月3日(木)

 『殺人博物館』用に2本執筆。

『ドナルド・リロイ・エヴァンス』は小ネタ。「少なくとも60人は殺した」と豪語したことで知られるが、白人至上主義者であることを公言したために、獄中で黒人に刺し殺されて、まさかの幕引き。だから、話を膨らませようがない。小ネタになった由縁である。

『ボビー・ジョー・ロング』も小ネタっちゃあ小ネタなのだが、参考文献が洋書なので、仕込みに結構時間がかかる、なにせ英語を読まなきゃならないもので。近年はインターネットでむづかしい単語はチョチョイのチョイと調べられるので便利である。

 本日の『ブラタモリ』は本郷台地。
「坂と坂の合間は川だった(現在は暗渠)」との指摘には「なるほど」と膝を打つ。それらしき場所が居所のそばにあり、そうではないかと予てから思っていたからだ。以上の他にも今回はかなり勉強になった。


12月4日(金)

『殺人博物館』用に2本執筆。

『デリック・エドワードソン』は小ネタながらも味わいのある事件である。鬼畜としての人生を歩んで来た男が、少女を殺してしまったことで人間性を取り戻す。己れを恥じて出頭する物語である。但し、参考文献が1册だけなので詳しいことが書けないのが残念だ。
(ネットで検索してみたが、事件当時の短い新聞記事しか見つからなかった)

『アーネスト・ウォーカー』はキ印の所業。常人には理解不能の物語だ。なにしろ14歳の少年を拷問の末に殺害し、翌早朝に巡回中のおまわりさんに「僕は人を殺しました」とご報告。報告された方も「はあっ?」ってな感じだっただろう。

 現実の殺人事件は人間ドラマの宝庫である。


12月8日(火)

 体調が悪くて土日月と3日間、ほとんど何も出来ず。酒ばかり飲む。

 本日は『殺人博物館』用に『ディロン&アップルトン』を執筆。典型的な放火殺人だが、共犯者の云い分が真っ向から対立するのが面白い。
 なお、参考文献の『THE ENCYCLOPEDIA OF MASS MURDER』は『ディロン&アップルトン』の項を新聞記事からの引用だけで済ませてしまっている。こんなんでいいのか? 唐沢俊一並みの低クオリティーだぞ、とも思ったが、それほど資料が少ないということなのだろう。唐沢俊一とは異なり、ブライアン・レーンはちゃんと引用元(『アクスブリッジ・ガゼット』と『デイリー・テレグラフ』紙)を明かしている。遥かにマトモである。

 その後、チャールズ・ロートン監督『狩人の夜』を鑑賞。改めて傑作であることを確認する。特にロバート・ミッチャムのキ印っぷりがいい。
 なお、ミッチャムが演じた「LOVE&HATE」の連続殺人犯、ハリー・パウエルにはモデルがいる。実在のロンリー・ハート・キラー、ハリー・パワーズことハーマン・ドレンスである。


12月9日(水)

 本日は『殺人博物館』用に2本執筆。

『フリーマン&ジャクソン』は幼い我が子2人を惨殺したレズビアンのカップルの物語だ。タチで主犯が19歳。ネコで母親が37歳。いったいどうして殺さなければならなかったのか? その詳細は定かではない。
 なお、昨日『狩人の夜』を観たのは、この事件に備えてのこと。フリーマンの拳には「HATE」の刺青があったのだ。但し「LOVE」の方はなかったようだ。

『アーサー・ビショップ』はゲイでペドフィリアのモルモン教徒。死刑判決後に「俺がこうなったのはチャイルド・ポルノのせいだ」とか責任転嫁したわけだが、果たしてそうだろうか? おそらくチャイルド・ポルノがこの世に存在しなくても、お前さんは少年を犯して殺していただろうよ。


12月10日(木)

 本日も『殺人博物館』用に2本執筆。
 なんか血なまぐさいことばかり書いてるなあ、毎度のことだが。

『フランク・スピサック』は衣装倒錯者にしてアドルフ・ヒトラー信奉者。クリーブランドを「浄化」するためにユダヤ人&黒人の殲滅作戦に打って出た大バカ野郎だ。死刑判決が下されたが、おそらく今でも獄中でのうのうと生きている。

『ジェリー・スプラゲンス』は超小ネタ。まあ、こんなへんてこな話もありますよってことでお茶を濁す。副題は「呪いのアパート」。これ以上書くとネタがバレるので、ここまで。

 本日の『ブラタモリ』は「品川」。『品川心中』という有名な落語もあることだし、品川遊郭についてもっと取り上げて欲しかった。
 ちなみに、品川遊郭を舞台にした落語『居残り佐平次』の映画化『幕末太陽伝』(フランキー堺主演)は『地獄』と『煙突の見える場所』に次ぐ我が邦画ベスト3ランクインの傑作である。


12月11日(金)

 本日は『殺人博物館』用に『ゲイリー・アラン・ウォーカー』を執筆。さながらロード・ムービーの如き行き当たりばったりの殺人行脚は整理するのが大変だ。YouTubeで見つけたドキュメンタリー(何故かパート1がなくてパート2からパート5まで。約30分ほど)が随分と参考になった。
 前半は事実を淡々と書き綴るのみで、書いていてつまらぬ。文章がようやくはっちゃけたのは後半になってからだ。決めの文句は、
「済まねえな、5人も殺しちゃって」


12月12日(土)

 土曜日の朝といえば『ぶらり途中下車の旅』だ。本日の旅人はなぎら健壱。先日『ブラタモリ』でも紹介されていた銀座の裏路地を歩いていた。あからさまなパクリである。
 ところで、以前マジソンズで『ちちはるおのぶらり途中下車の旅』を撮ろうというアイディアが持ち上がったことがある。例えば、こんな感じ。
「おやおや、ちちさん。どこに行くんですか?」
「いや、五反田にね、珍しい風俗があると聞いたもので、ちょっと行ってみましょう」

 本日は『殺人博物館』用に『ウェイン・ナンス』を執筆。被害者に報復されて殺された哀れな連続殺人者だ。こういう例も世の中にはあるのだ。


12月15日(火)

 一昨日から執筆していた『殺人博物館』用の『ジェラルド・シェイファー』がようやく完成。思いのほか長編になってしまった。首吊りファンタジーに取り憑かれた男の物語だ。34人殺したと豪語しているが、果たして真相や如何に?

 その後『ラリー・アイラー』に取りかかるが、こちらも中編になりそう。明日に持ち越す。

 本日の『人志松本の○○な話』は「ゾッとする話」。水道橋博士の話がなかなか面白かった。
「で、そのミザリー女は今どうしているかというと……別の若手芸人のストーカーをしているんです」
 という『李さん一家』のようなオチであった。


12月16日(水)

 本日は『殺人博物館』用の『ラリー・アイラー』の残りを執筆。シカゴを中心に20人以上殺害したゲイの連蔵殺人犯である。当然ながら被害者はすべて若い男。死刑を宣告されたが、1994年にエイズで死亡している。
 80年代後半になるとエイズで死亡するゲイの連続殺人犯が目立ち始める。ティエリー・ポーリンとかマイケル(ミケーレ)・ルーポとか。ラリー・アイラーが「HIV陽性」であることを知っていたのかは不明だが、彼もまたポーリンやルーポのように自棄になって犯行を繰り返したのだろうか? その頻度の凄まじさには驚かされる。

 その後『マイケル・ロス』について下調べ。英語をたどたどしく読んでいたら、書く時間がなくなってしまった。概要は頭の中に入ったので、明日書くのみ。


12月17日(木)

 本日は『殺人博物館』用の『マイケル・ロス』を執筆。ひょろひょろとしたひ弱な体型にフィンガー5のようなトンボ眼鏡。童顔で、逮捕時25歳だったにも拘らず15、6歳の少年のように見える。およそ連続強姦殺人犯に似つかわしくない人物だ。いったい何が彼にそうさせたのか? おそらくその原因は少年期のトラウマにある。彼もやはり虐待されて育ったのだ。

 その後『ジェフリー・フェルトナー』の下調べに取りかかるも、この程度なら今日中に書けるぞと一気呵成にささっと仕上げる。この事件でもやはりエイズが重要なテーマとなっている。フェルトナーがHIVに感染していなければ、果たして8人も殺しただろうか?

 本日の『ブラタモリ』は横浜。「中華街45度の謎」には「なるほど!」と思わず膝を打った。


12月18日(金)

 電子書籍『殺人博物館/きちんと後始末』が本日発売。
「おでん屋バラバラ殺人」
「人違いバラバラ殺人」
「千住バラバラ殺人」
「ジョン・デヴィッド」
 以上の4編が書き下ろし。いずれも突飛でユニークな事件なので是非ともご賞味あれ。

 ところで、昨日はあれほど快調だったのに本日は筆が振るわず。『殺人博物館』用の『ダニー・ローリング』を半ばで断念して、明日に繰り越す。

 血なまぐさい事件ばかりを書いていると、時として酒を飲まずにはいられなくなることがある。『ダニー・ローリング』の場合がまさにそうだった。こいつは深夜にアルバイトする真面目な女子大生を犯して殺して、その首を切断して、本棚にこれ見よがしに飾り立てたのである。この旨を書いた直後に筆が止まった。切なくて、無性に酒が飲みたくなった。ゴクリと飲み干したら、止めどもなく涙が溢れた。こんなもん、書いてられるかい、べらぼうめ。後はもうグズグズである。


12月21日(月)

 昨日は『M1グランプリ』で大いに盛り上がり、そのまま酔っぱらって寝ちまった。だから、本日は頑張って『アイヴァン・ミラット』を執筆。「バックパッカー・キラー」として知られる豪州の連続殺人犯である。現在も服役中だが、2009年1月27日付でこんなニュースが舞い込んだ。

【シドニー27日AAP】
 連続殺人を犯して刑務所に服役している無期懲役囚が、プラスチック製のナイフで左手小指を切断し、封筒に入れて豪州高等裁判所に郵送しようとした。
 バックパッカー7人を殺害し、オーストラリア史上最悪の殺人犯として知られるアイバン・ミラット受刑囚は26日、服役中のゴールバーン刑務所内で切断した左手小指を新聞紙と共に封筒に入れ、刑務所護衛官に手渡した。同受刑囚はゴールバーン基地病院に搬送され、指の再接合が試みられたが不可能だった。

 こいつはハンガー・ストライキを行ったり、脱走を試みたり、剃刀の刃を飲み込んで自殺を図ろうとしたりと、随分とにぎやかな余生を送っている。


12月22日(火)

 本日はまるでハンニバル・レクター博士のような『ロバート・モーズレイ』を執筆。人間の脳味噌を食べちゃったばっかりに、防弾ガラス製の監房に入れられて早25年。
「俺にもプロファイリングが出来れば、FBIが協力を求めに来るんだけどなあ」
 と嘆いていたという話は寡聞にして聞かない。近年「もうすぐ死にそうだ」と報道されたが、まだ死んでないようだ。

 本日の『人志松本の○○な話』は「ゾッとする話」。笑い飯西田のオヤジの話にとりあえず大笑い。弾丸ジャッキー松雪オラキオの話(自殺の方)は都市伝説として耳にした記憶がある。事実だとすれば相当に陰惨な話だ。


12月23日(水)

 本日は電子書籍用の書き下ろし『ドランゲル・ヴァルガス』を執筆。「アンデスのハンニバル・レクター」の異名で知られる、ベネズエラの食いしん坊である。「YouTube」で彼のインタビューを見ることが出来るが、スペイン語なのでちんぷんかんぷんだ。
「食べちゃった?」
「うん。食べちゃった」
「ほんとに食べちゃった?」
「うん。ほんとに食べちゃった」
 とか云ってるのだろうか。

http://www.youtube.com/watch?v=FFDMa6hDKZ0


12月27日(日)

 本日は電子書籍用の書き下ろし『アーサー・ショークロス』をようやく書き上げる。元ベトナム帰還兵にして、現地でのカニバリズムを告白した『地獄の謝肉祭』のような男だが、私は彼の告白は全て嘘だと考えている。なにしろ、若い頃に仕事をサボりたくて職場に火を放った男なのだ。そんなちゃらんぽらんな男の告白を信じろというのが土台無理な話である。


12月28日(月)

 本日は電子書籍用の書き下ろし『ゲイリー・リッジウェイ』を執筆。20年近くもの間、未解決だった「グリーン・リバー・キラー」がようやく逮捕されたのはDNA鑑定という新技術の賜物である。DNA鑑定は万能ではないが(足利事件のような冤罪も生み出している)、今後も多くの未解決事件に解決の糸口を見出してくれることだろう。故に、我が国における殺人事件の公訴時効は早々に撤廃すべきである。立法機関はいったい何をしておるのか。さっさと刑事訴訟法を改正したまえよ、鳩山くん。税金のバラまき(選挙対策)に精出していないで。


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