ウィリアム・グールドストン
William Gouldstone (イギリス)


 

「子供が多すぎる」と全員を殺害。常軌を逸した事件である。

 ロンドン北東の町ウォルサムストウに住むウィリアム・グールドストン(26)は働き者の鍛冶屋だった。3年前に結婚した妻との間には既に3人の子供がいた。そして、妻はまた妊娠した。子供の養育費の捻出がこの真面目な男の唯一の悩みの種だった。
 1883年8月、妻は無事に出産したが、なんと、双子だった。
 ぷつん。
 これはグールドストンの頭の中の何かが切れた音である。まず3人の幼児を水深30cmほどの水槽に放り込み、顔を押さえつけてぶくぶくぶくぶく。それから妻の寝室に駆け込むや、すやすやと眠る双子の頭にハンマーを振り降ろした。当然ながら悲鳴をあげる妻に、彼はこう云い放った。
「お前だってもう子供はいらないと云っていたじゃないか!」

「3年半ばかりの間に5人も子供ができてしまい、いたたまれなくなったのです。どうしても止めさせなければと思ったのです」
 警察署に連行されたグールドストンはこのように弁明した。
「後悔はしていません。ハナから首をくくられる覚悟はできていました」

 裁判において、グールドストンの両親双方の家系に精神異常者がいることの証拠が提出され、また、犯行前の彼が子供のことで相当に悩み、自殺すら考えてことも明かされた。しかし、彼は善悪の区別はつくし、死刑になることも覚悟していた。法的には精神異常とは看做すことはできない。有罪判決が下り、死刑が宣告されたが、時の内務大臣サー・ウィリアム・ハーコートの恩情によりその執行は猶予された。誠に悲しい事件である。


参考文献

『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)


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