アルベール・ガイ
Albert Guay (カナダ)



カナディアン航空DC3機の墜落現場

 
アルベール・ガイとマルゲリート・ピトレ

 1949年9月9日、ケベックを飛び立ったベーコモー行きのカナディアン航空DC3機が飛行中に爆発、トーメント山に激突し、乗客乗務員あわせて23名全員が死亡した。当初は事故だと思われていたが、間もなく貨物室に爆発物が仕掛けられていたことが判明した。

 貨物の記録を調べた調査官は不審な小包を発見した。それは「デフィ・ブーシャル」から「アルフレッド・プルッフ」に宛てた重量12kgの「聖像」で、送り主も受取り人も共に住所地には住んでいなかった。
 空港の職員は送り主をはっきりと憶えていた。肥えた中年の女性で、小包を預けるなり、そそくさとタクシーで立ち去ったと云う。やがて彼女を乗せた運転手が割り出された。彼の証言から、女性はマルゲリート・ピトレ
であることが判明した。しかし、その時には彼女は入院していた。睡眠薬で自殺を図ったのである。

 彼女の身辺を洗った警察は、宝石商を営むアルベール・ガイに辿り着いた。彼の妻リタが墜落したDC3機の乗客の1人だったのである。つまり、爆弾を仕掛けた女の知人の妻が犠牲者だったのだ。こんな偶然があるだろうか?

 捜査の結果、ガイにはマリー=アン・ロビターユという愛人がおり、妻と別れたがっていたこと、そして、妻には多額の生命保険が掛けられていたことが判明した。つまり、この男は妻を亡きものにするために、22名もの無関係な人々を巻き添えにしたのである。なんとも豪快な殺害方法である。

 ガイは当初は犯行を否定していたが、やがて全面的に自供。時限装置はピトレの弟で時計職人のジェネーロ・リュエスの手によるものであることを告白した。
 一方、ピトレは小包を預けたことは認めたが、爆弾であることは知らなかったと弁明した。しかし、ダイナマイトと導火線を調達したは彼女であることが判明すると、最早云い逃れは出来なかった。
 3人は有罪となり、それぞれ絞首刑に処された。


参考文献

『殺人紳士録』J・H・H・ゴート&ロビン・オーデル著(中央アート出版社)
『愛欲と殺人』マイク・ジェイムズ著(扶桑社)


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