エヴァ・ラブレン
Eva Rablen (アメリカ)



広場で開かれた裁判(矢印がラブレン)

 ごくありふれた事件である。傲慢な嫁が夫を毒殺したってだけのことだ。ところが、地元の野次馬が何百人と傍聴に押し寄せ、舞い上がった判事が場所を移して野外の広場で裁判を行った。そんなのアリなの?

 カリフォルニア州タトルタウンの不埒な人妻、エヴァ・ラブレンは当時流行の「フラッパー」だ。連日のようにダンスホールに繰り出しては踊り惚けていた。一方、夫のキャロルはというと先の大戦で聴力を失い、よってリズムに合わせて踊ることはできない。もっぱら見物役に徹していた。そんな夫を疎ましく思ったエヴァは、短絡的にも殺してしまうことにした。

 1929年4月のとある日、いつものようにダンスホールで見守る夫に、エヴァは毒入りコーヒーを手渡した。酷く苦いと感じた直後に激しい腹痛がキャロルを襲い、そのまま身悶えながら息を引き取った。
 遺体は解剖されたが、毒物は検出されなかった。しかし、キャロルの父親は納得しない。あのふしだらな嫁が3万ドルの保険金欲しさに殺害したのだと訴えた。現場を捜索した警察はダンスホールの片隅で「ストリキニーネ」と表示された小瓶を発見。販売した薬局名も記されているので当たってみると、買い主の名は「ウィリアムズ夫人」。エヴァの写真を見せると店主は答えた。
「この御婦人に間違いありません」

 胃の内容物が再度検査された結果、微量ながらもストリキニーネが検出された。かくして、エヴァは屋外の公開法廷でさんざん晒しものになった挙句、終身刑を宣告された。


参考文献

『殺人紳士録』J・H・H・ゴート&ロビン・オーデル著(中央アート出版社)
『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)


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