シカゴ・リッパーズ
The Chicago Rippers
a.k.a. The Ripper Crew (アメリカ)



ロビン・ゲットとエドワード・シュプライツァー


トーマス・ココラレイズと弟のアンドリュー

 1981年から翌82年にかけて、シカゴ周辺では女性が誘拐、強姦された挙げ句、切り刻まれて殺害される事件が相次いでいた。

 1981年5月23日、エルムハーストの路上でリンダ・サットン(28)が誘拐された。遺体が発見されたのは10日後のことだ。無惨にも左の乳房が切り取られていた。

 1年後の1982年5月15日、やはりエルムハーストでロレイン・ボロウスキ(21)が誘拐された。その日、彼女は勤務先の不動産事務所に朝一番で出勤する予定だった。ところが、経営者が出勤した時には事務所はまだ閉まっていた。入口の前には彼女の靴とハンドバッグが落ちていた。つまり、彼女は事務所を開けようとしたところを襲われて、誘拐されたのである。遺体が発見されたのは10月10日になってからだ。

 2週間後の5月29日にはハノーヴァー・パークでシュイ・マクが誘拐された。遺体が発見されたのは9月30日になってからだ。

 8月28日にはシカゴ川の岸辺で、サンドラ・デラウェアという売春婦の遺体が発見された。彼女もまた左の乳房を切り取られていた。

 9月8日にはシカゴの裏通りで、ローズ・デイヴィス(30)の遺体が発見された。彼女の遺体が最も無惨だった。斧で切り刻まれた挙げ句、両方の乳房を切り取られていたのだ。

 10月6日にはノース・ウェスタン鉄道の線路脇で、ビヴァリー・ワシントン(18)という売春婦が無惨な状態で発見された。滅多刺しの挙げ句に左の乳房を切り取られていたのだ。犯人は彼女が死んだと思って遺棄したのだろうが、奇跡的にもまだ生きていた。そして、彼女の証言に基づき赤いバンが手配されて、その持ち主であるロビン・ゲット(28)が逮捕されたのである。

 ゲットを洗った警察は、彼が3人の仲間と共に「リップ・ヴァン・ウィンクル・モーテル」の1部屋を借りていることを突き止めた。最初の犠牲者、リンダ・サットンが遺棄されていたのは、このモーテルの隣だったのだ。支配人によれば、彼らはよく女を連れ込んでは乱痴気騒ぎをしていたという。
 かくして3人の乱痴気仲間、エドワード・シュプライツァー(23)、トーマス・ココラレイズ(23)、弟のアンドリュー・ココラレイズ(20)が逮捕され、一連の事件への関与を認めた。特にトーマスの口からは驚くべきことが語られた。彼らは「悪魔崇拝者」で、ゲットの自宅にある「悪魔の教会」で生け贄として女性を切り刻んだ後、切り取った乳房を食べたというのだ。

 かくしてシカゴ住民を震撼させた「シカゴ・リッパーズ」の犯行は幕を下ろしたわけだが、裁判では思うようには裁けなかった。シュプライツァーとアンドリュー・ココラレイズには死刑判決が下されたものの、トーマス・ココラレイズは終身刑、主犯格のロビン・ゲットは120年の刑に留まったのだ。極めて邪悪な犯行であり、ここは全員死刑というのが妥当な結末だと思う。

 なお、これはあくまで余談なのだが、ロビン・ゲットはかつて「キラー・クラウン」としてお馴染みの連続殺人者、ジョン・ウェイン・ゲイシーに雇われていたことがあるという(ゲットはフリーの大工で、ゲイシーはリフォーム業を営んでいた)。ゲイシーが事件に影響を及ぼしたわけではないのだろうが、「類は友を呼ぶ」ということわざが思い出されるエピソードである。

(2009年4月23日/岸田裁月) 


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)
『SERIAL KILLERS』JOYCE ROBINS & PETER ARNOLD(CHANCELLOR PRESS)


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