フィリップ・レイトン
Philip Eric Layton (オーストラリア)


 

 1982年3月8日深夜、シドニーの閑静な住宅地で銃声が響き渡った。1度ではない。何度もだ。住人たちは寝巻姿で外に飛び出し「なんだなんだ」と騒ぎ立てる。
「今のは銃声だったよな?」
「で、出どころはどこだ?」
「ロスさんの家からじゃないかしら」
 直ちに呼ばれた警察がロス家の玄関を蹴破って立ち入ったところ、まず子供部屋で以下の遺体に出くわした。

 ペトリナ・ロス(7)
 ナタリー・ロス(6)
 クリントン・ロス(5)
 ヴィッキー・ロス(1)

 居間にはマーガレット・アン・・ロス(27)と別居中の夫、クレイグ・ロス(26)、そして、フィリップ・レイトンの遺体があった。レイトンの脇には凶器の22口径ライフルが転がっていた。

 マーガレットがクレイグと別居して、子供たちと共にこの家に移り住んだのは7ケ月ほど前のことだった。隣人曰く、

「そんな奥さんにちょっかいを出していたのが、あのレイトンとかいう男なのよ。奥さん、困り果てていたわ。子供たちのことがあるから、今のところは離婚は考えていないし、再婚なんてありえないって。それでもレイトンは諦めなかったの。夫と別れないなら皆殺しにしてやるって脅されたこともあったそうよ」

 結局、その通りになってしまったということなのか? しかし、当事者がみな死んでしまった今となっては、その晩にいったい何があったのかは知るよしもない。道連れになった子供たちが不憫でならない。

(2010年2月28日/岸田裁月) 


参考文献

『THE ENCYCLOPEDIA OF MASS MURDER』BRIAN LANE & WILFRED GREGG(HEADLINE)


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