ウィリアム・ブリトル
William Brittle (イギリス)



 1964年6月28日、中年男性の遺体がバークシャー州ブラックネルの森の中で2人の少年により発見された。当の少年曰く、
「魚釣りの餌として蛆を探していたんです。そしたら蛆の山に出くわして…。死体に群がっていたんです」
 病理学者のキース・シンプソンは、蛆の生成状況から「死後9〜10日」と判断した。その頃に失踪した者が絞り出され、やがて遺体はグロスターシャー州リドニー在住のピーター・トーマスであることが判明した。彼は6月16日から行方不明になっていた。死因は「喉への一撃」だった。絞殺ではなく、喉に強烈な一撃を喰らったことで死亡していたのである。

 ピーター・トーマスの身辺を洗った警察は、彼がウィリアム・ブリトルという男に2000ポンドの金を投資していることを突き止めた。そして、その返済日が6月16日だった。誰がどう考えてもブリトルの犯行であることは明らかである。
 取り調べに応じたブリトルは、「2000ポンドは競馬で儲けた金で弁済した」と弁明したが、その時の勝ち馬の名前を云うことが出来なかった。また、元軍人のブリトルは空手の有段者だった。なるほど、「喉への一撃」は空手によるものだったのか。

 かくして殺人容疑で有罪になったウィリアム・ブリトルは、終身刑を宣告された。空手の殺し屋は今、どうしているのかなあ。死んでいるのか生きているのか、ネット検索すれども判らなかった。

(2012年10月5日/岸田裁月) 


参考資料

http://www.murder-uk.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Lydney
http://theyellowroomeditor.blogspot.jp/2009/09/reading-festival-of-crime-writing_27.html


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