ヘザー・スミス
１９８５年１１月２６日、ワシントン州スパナウェイのスパナウェイ中学校において、生徒のヘザー・スミス（１４）が同級生のゴードン・ピケット（１５）とクリストファー・リコ（１４）を２２口径のライフルで射殺した後、銃口を自らに向けて自殺した。ドラマで見せられたら「んなことあるか〜い」とツッコミを入れるところだが、現実に起こったことなのだから仕方がない。どうしてこんな事が起こったのだろうか？
とにかく、ヘザーという女の子はマトモではなかった。先週には「成績が悪かった」というだけの理由で、手首を切って自殺を試みている。
そして、それが原因だったのかは不明だが、犯行当日に恋人のゴードンから別れを告げられた。彼女は自宅に帰り、父親のライフルを拝借して再び学校へと向かった。彼女を目撃した知人はエアガンを持っているのかと思ったという。
ゴードンはレスリング部に所属していた。そのジムの前でヘザーは同級生のマット・ホーンと会話をしている。彼女は云った。
「ゴードンをここに連れて来て」
マットは答えた。
「何だよ、その銃は？ 奴の頭を吹き飛ばすつもりか？」
彼女は答えた。
「そんなことしないわ。私、弾を装填することも出来ないんだから」
これは嘘だった。間もなく部活を終えてゴードンが現われると、ヘザーは彼に向けて発砲した。その際にクリストファーがゴードンを庇ったために、彼もまた被弾した。
２人を殺害したヘザーはその場から逃走したが、２時間後の午後６時４５分頃に警察官に見咎められると、彼らの前で銃口を己れに向けて自殺した。何とも後味の悪い結末だった。
（２０１３年１月２５日／岸田裁月）