血のバレンタイン
MY BLOODY VALENTINE

カナダ 1981年 91分
製作 ジョン・ダニング
監督 ジョージ・ミハルカ
出演 ポール・ケルマン
   ロリ・ハリアー


『スクリーム』のオープニング「残酷!ホラー・クイズ」(解答者はドリュー・バリモア)でも出題されていたが、『13日の金曜日』の第1作にはジェイソンは出て来ない。犯人は故ジェイソン坊やの母親で、あの映画は一応、犯人探しのミステリーだったのだ。
(2作目からは死んだ筈の坊やが成人になって蘇り、母親の弔い合戦を延々と繰り広げることとなる)
 しかし、スプラッター映画のミステリーってやつは、犯人がフェアであった試しがない。「殺せる筈がない人」か「犯行の動機が観客に判る筈がない人」ばかりだ。本作はこの二つに該当する。

 舞台は地方の炭坑町。聖バレンタイン・デーのお祭りに向けて住人たちは盛り上がる。活気づく町を見渡しニンマリする町長。差出人不明の小包を受け取ると、中にはハート・チョコではなく本物の心臓が入っていたから大変だ。
 実はこの町は、20年前にキチガイ男が大虐殺を繰り広げた八墓のたたりの町だったのだ。バレンタインのお祭りで早くはしゃぎたいがために安全確認を怠った奴らがいて、そのために炭坑はガス爆発。生き残った唯一の男が発狂して、はしゃいでいた奴らをブチ殺したのである。
 この事件の反省から町ではお祭りを自粛。しかし、このたび20年ぶりに復活させた矢先のこの心臓。あのキチガイが帰ってきたのだろうか?。


 と、以上の御膳立ての後はお約束の殺戮に次ぐ殺戮。
 では犯人はいったい誰かというと、なんとお祭りで浮かれる若者の一人。陽気にはしゃいでいたかと思うと、次のシーンでは変装して(着替えまでして)元気に殺しまくっている。時間的にも場所的にも彼が殺せる筈がないのだ。だから、種明かしをされても観客は「そんなバカな!」としか思わない。
 それでは動機は何かというと、彼の父親は20年前にブチ殺されたはしゃぎ屋さんの一人だったのだ。そんな伏線、どこにもなかったじゃねえか!。
 だいたい、20年前のことが思い出したくないのなら、素直に「お祭りはやめようよお」と町民に訴えればよかったのだ。なにも親父を殺したキチガイに同化して、ブチ殺して回ることはない。
「若気の至り」ってことなのだろうが、「I`ll be back !」ってな感じで走り去る犯人に反省の色はない。続編を予感させて映画は終わる。
 しかし、25年経った今でも続編は作られていない。


 

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