血に飢えた断髪魔
BLOODTHIRSTY BUTCHERS

米 1970年 80分
監督 アンディ・ミリガン
脚本 アンディ・ミリガン
   ジョン・バースク
出演 ジョン・ミランダ
   アナベラ・ウッド
   バーウィック・ケーラー


 アンディ・ミリガンは、その諸作品が日本でビデオリリースされた85年当時に「スプラッター映画最後の大物」との触れ込みで紹介された。「最後の大物」とはよく云ったもので、要するにスプラッター映画のネタも尽きて「これで打ち止め」ってことなのである。
 鑑賞後の感想は、とにかく「安い」。8mフィルムと見まがうほどの画像の荒さ。音楽は既成のクラッシックや民謡のレコードを版権無視して流しているだけ。驚いたのは、ライブ盤をBGMで流していること。聴衆の拍手や手拍子が物語と関係なく聞こえてくる乗りはほとんど中学生の映研映画だ。(否。それ以下か)。とにかく、映画作りのイロハも知らないような奴がアンディ・ミリガンであり、そのどうしようもない作品を「最後の大物」と称してリリースしていた日本のバブルを愚かに思わざるをえない。


 さて、内容であるが、要するに大英帝国の有名な都市伝説「スウィーニー・トッド」の映画化である。スウィーニー・トッドという名の床屋がかつてのロンドンにいて、客を殺しては金品を盗み、その屍体はミートパイにして売り捌いていた、という物語。97年にジョン・シュレシンジャーが『スウィーニー・トッド』のタイトルで映画化しているので、こちらの方を観た方が6億倍ぐらいマシだろう。
(だからといってシュレシンジャー版が傑作というわけではない。念のため)

 なお、過激なスプラッター描写を売りにする本作であるが、それらしきところは、冒頭の手首切断と、後半の「おっぱいパイ」ぐらい。よっぽどシュレシンジャー版の方が残酷で、スプラッター映画としても失格なおバカさん。
 人類史上稀にみるダメ映画である。


関連作品

ザ・マン・ウィズ・ツー・ヘッズ(THE MAN WITH TWO HEADS)


 

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