人喰いエイリアン
Alien Prey

英 1978年 カラー
日本未公開(ビデオ発売)
監督 ノーマン・J・ウォーレン
出演 バリー・ストークス
   サリー・フォークナー
   グローリー・アナン


 

 かなり変な映画である。
 駄菓子屋で売ってるような牙をつけ、鼻を黒く塗り、前髪をオールバックにしただけの安いエイリアンが失笑と脱力を誘うが、設定が恐ろしく変なので、単なる安物として片付けるには少々もったいない。(だからといって、褒めることもできないのだが)。

 食料不足に悩む宇宙人が地球に調査にやってくる。彼のホームステイ先はレズビアンのカップルで、その激しい情交を盗み見した宇宙人は思わず興奮。自らも女装してかくれんぼしたりと、倒錯した世界へとハマっていくのであった.....。
 要するに、70年代に流行した「トラップもの」、例えば、《火の森》とか《白い肌の異常な夜》とか《メイクアップ》とかの、女だけの所帯に一人の男が迷い込み、甘美だが地獄のような世界を体験するという、あの類型の宇宙人バージョンなのである。
 しかし、今回破滅するのは男ではなく、女たちの方である。
 宇宙人が同居したことでレズの関係にひびが入り、ネコの方が宇宙人とベッドイン。オーガズムと同時に宇宙人はマヌケな正体を現し、「こりゃうまそうだ」とばかりにその咽笛に喰らいつく。

 監督のノーマン・J・ウォーレンは、悪名高き《悪魔の受胎》でお馴染みのB級スプラッター専門の人。(英国人でスプラッター専門というキャリアは珍しい)。女を女と思っていない鬼畜な作風が素晴らしい。
 鼻黒宇宙人に扮するバリー・ストークスは、どこかで見た顔だなあと思っていたのだが、今日インターネットで検索して、それがどこだか判明した。彼はなんと映画版《ベルサイユのばら》に出演していたのだ。(「人喰いエイリアン」で検索したらカトリオーナ・マッコールのファン・サイトにぶつかり、そこで判明した)。
 しかし、カトリオーナ・マッコールといいバリー・ストークスといい、どうして《ベルばら》の出演者はB級ホラーにシフトしてしまうのだ?。呪われているとしか思えない。
(ちなみに、オスカルの少女時代を演じたのは、なんとパッツィ・ケンジットだったのだそうだ。彼女もB級ホラーに片足を突っ込んでますな)。