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1. ウィンステッドの大ボラ吹き
まずは軽いホラ吹き男の話から始めよう。
20世紀初頭に活躍したコネチカット州ウィンステッドのジャーナリスト、ルイス・ストーンは「タブロイドの父」とでも云うべき人物であった。借金の返済を迫られた彼は、やむなくスクープをでっち上げた。これがバカ受けし、ストーンは以後、奇想天外な「トゥルー・ストーリーズ」をニューヨークの大新聞に送り続けた。例えば、
「焼きリンゴのなる木」。
「独立記念日に赤白青三色の卵を産んだ雌鶏」。
「聾唖の豚」。
「運賃代わりに卵を産んでいった鴨」。
「わさび大根の畑で放牧され、辛いミルクを出した乳牛」。
「口笛を吹く三つ口の猫」。
「蝿を寄せつけないように頭に蜘蛛の絵を描いた男」等々。
ストーンはたちまち「ウィンステッドの大ボラ吹き」の異名とともに全米の人気者となった。1933年に世を去ると、ウィンステッドの入り口にはこんな標識が立てられた。
「1779年に誕生したウィンステッドは、この街に実在するとされた奇想天外な物語のおかげで地図に記載されるに至った。これはひとえにウィンステッドの大ボラ吹き、ルイス・ストーンの賜物である」。
こんな楽しい嘘なら大歓迎といったところであろうか。
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