ファンタズム III
PHANTASM III : LORD OF THE DEAD

米 1993年 95分
監督 ドン・コスカレリ
脚本 ドン・コスカレリ
出演 マイケル・ボールドウィン
   レジー・バニスター
   アンガス・スクリム
   ビル・ソーンベリー


 さて、ここらでこのシリーズの登場人物を整理しておこう。

 まず、マイケル・ボールドウィン扮するマイク青年。前作では学業に専念していたのか、ジェームズ・レグロスにバトンタッチしていたが、今回から現場復帰を果たす。

 次に、ビル・ソーンベリー扮するマイクの兄貴、ジョディ。1作目では交通事故で死んだことになっていたのだが、このたび殺人ボールとなって現場復帰。実はトールマンに殺されて殺人ボールにされていた、という設定だ。普段はマイクとテレパシーでおはなしするが、いざとなると実体化して助けてくれる。もーれつア太郎のお父さんのような存在である。
 なお、本作では、殺人ボールには犠牲者の脳ミソが内蔵されていることが明らかになる。例の小人は脳ミソを摘出した後の抜け殻だったのである。

 ジョディの親友で、今ではマイクの相棒であるレジーは、本シリーズの実質的主人公と云ってよい。扮するレジー・バニスターの存在なくしては、本シリーズの存続は不可能だったろう。禿げ上がった頭がチャームポイントのナイスガイで、毎回女の尻を追い掛けて、手酷い目に遭っている。

 で、今回レジーがその尻を追うのがロッキーという名の黒人女。どういうわけかヌンチャクの達人で、相棒を殺人ボールに殺されたのを機に、レジーと共闘することとなる。

 これに加えて、『ホーム・アローン』のような悪ガキ、ティムが登場し、レジーをボコったヤンキーどもを皆殺しにする。
 このヤンキーどもがなかなか個性的で、あっさり殺されてしまうので「もったいない」と思ったが、トールマンに蘇らされてゾンビとして復活。一行に襲いかかるという寸法である。なるほどね。


 いうわけで、これまでに比べて登場人物が格段に増えて、だいぶ賑やかになってはいる。しかし、まとまりの無さ、脈絡の無さも格段に増している。鑑賞中はそれなりに楽しめるが、後になって、
「今、俺が観た映画はいったい何だったんだ?」
 と考え込むことになる。
 まったく不思議な映画だよ、『ファンタズム』は。

 え?。前作のラストで誘拐されたエリザベスはどうなったかって?。
 あっさり殺されてましたよ、巻頭で。バラバラにされて、例の小人に喰われてました。
 ということは、エリザベスを救出するためのマイクとレジーの前作での健闘は、巻頭であっさりと否定されてしまったわけであり、本当に場当たり的な、脈絡のないシリーズである。
 今回、ラストで誘拐されたのはティム少年だが、果たして彼は4作目で救われるのだろうか?。
(答:救われないどころか、言及もされない)


関連作品

ファンタズム(PHANTASM)
ファンタズムII(PHANTASM II)
ファンタズムIV(PHANTASM IV)


 

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