キャンディ
CANDY

伊=仏=米 1968年 124分
監督 クリスチャン・マルカン
原作 テリー・サザーン
脚本 バック・ヘンリー
出演 エヴァ・オーリン
   リチャード・バートン
   リンゴ・スター
   ウォルター・マッソー
   ジェームズ・コバーン
   ジョン・ヒューストン
   シャルル・アズナヴール
   マーロン・ブランド




 本日(2005年11月19日)深夜午前3時20分より、本作は12チャンネルでひっそりと放映される。以前に『マイラ』を放映した時も、こんな感じでひっそりとだった。12チャンネルを油断してはならない。夜中の2時過ぎに『ムーミン』を放映したりするテレビ局である。トンデモない怪作を突如として放映したりする。この『キャンディ』も怪作中の怪作である。

 原作は「博士の異常な愛情』や『バーバレラ』『イージー・ライダー』の脚色で知られるテリー・サザーンの発禁文学である。要するにボルテールの『カンディッド(CANDID)』乙女版で、性に目覚めたキャンディが、どういうわけか男巡りの冒険旅行に出るハメとなる。出会う男すべてが彼女に発情し、いざ事に及ぼうとするたびに水が入って中断される。そんな艶笑噺だ。

 たわいもない物語だが、発情する男どもが異常に豪華で、「こんなに豪華でいいのかしら?」と少々不安になってくる。
 まず、リチャード・バートンは飲んだくれのエロ詩人。ヘベレケになって床をベロベロ舐めまわる。バートンほどの大物にこんなことやらせていいのかしら?。
 次に、リンゴ・スターはメキシコ人の貧相な庭師。キャンディに襲いかかるも早漏で候。天下のビートルズが早漏でいいのかしら?。
 ウォルター・マッソーはアメリカ軍人。キャンディに「やらせてくれ」と土下座するも、パラシュートをつけずに落下する。コメディ界の重鎮に土下座させていいのかしら。
 スペイン人の医師に扮するジェームズ・コバーンは比較的マシな方だろう。まるで闘牛のような華麗な手術を披露するからだ。ところが、スケベ人間であることには変わりなく、ジョン・ヒューストンの医院長とキャンディを巡ってヤルのヤラないのと口汚く罵り合うのである。これでいいのかしら?。
 シャルル・アズナブールはフランス人の怪盗せむし男。「ヤラせてくれないのはコブのためか?」などとキャンディに迫るが、テレビ的にこれはいいのかしら?。
 そして、インド人のインチキ導師に扮するのはマーロン・ブランド。この人はアカデミー賞を辞退する等、役者としての気骨が感じられるが、結構しょーもない映画にも出ている。ここでもノリノリでヨガのポーズの濡れ場を演じている。本当にこれでいいのかしら?。

 とにかく、出演料の心配をしてしまう映画である。しかも、出演者の豪華さの割には、それほど面白くもない。私はそのしょーもなさが好きなのだが、一般受けする筈がない。夜中にひっそり放映が似合う作品である。こんなに豪華なのに。
(なお、テレビ東京放映版は20分以上もカットされており、しょーもなさがパワーアップしていた)


 

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